生物生態研究所通信
友達と話をしていて、思わず「それに関してはね、こんなことがあるんだ」と言いたくなったことはありませんか。この生物生態研究所通信では、海の環境と生物に関わる「こんなこと」を紹介します。以前「海洋と生物」誌にプランクトンに関する専門的な総説を連載したとき、科学からの息抜きのために「海のことば」と題した雑学コラムを設けました。その趣旨を引き継ぐものです。
私が学生のころ、国内では「日本人の教養は大学受験時が最高、入学後は衰える一方」といわれ、米国からは「日本の初等中等教育は機能しているが、大学教育には学ぶべきことは何もない」といわれていました。社会人である私たちは、お互いに「こんなこと」を分け与えながら教養を高めたいものです。この通信がそれに役立つならば幸いです。
谷口 旭
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通信No. 41 海の言葉 35【補償深度③:観測】
【補償深度③:観測】補償深度を推定するには、海中光量の鉛直分布を観測し、その結果を海面直下の光量に対する相対値(%)のスケールで示すのが最善である。
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通信No. 40 海の言葉 34【補償深度②:経験則の適用】
【補償深度②:経験則の適用】補償深度を海中光の鉛直分布から推定する基準は、実は一定していない。その曖昧さが混乱を招いている。
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通信No. 39 海の言葉 33【補償深度①:経験則に至るまで】
【補償深度①:経験則に至るまで】海洋生態系における基礎生産者は植物プランクトンである。海底まで光が届く浅海域では海藻や海草が、深海の熱水鉱床などでは化学合成細菌などが基礎生産を担っている。
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通信No. 38 海の言葉32【問題をはらむ用語③-費用対効果】
【問題をはらむ用語③-費用対効果】常に混乱している用語に「費用対効果」という語がある。どう混乱していて、何が問題なのか。
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通信No. 37 海の言葉31【問題をはらむ用語②-再生可能エネルギー】
【問題をはらむ用語②-再生可能エネルギー】聞くたびに困惑する用語の一つが「再生可能エネルギー」という語である。最初は講演者の言い間違いだと思ったが、別の講演者も同じことを言うので驚いた。
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通信No. 36 海の言葉30【問題をはらむ専門語①-序】
【問題をはらむ専門語①-序】新語は言葉の起源であったし、流行語も昔からあったに違いない。わが国では、仏教や儒教とともに入ってきた外来語は、文字も意味も難しく、発音もしにくかっただろう。
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通信No.35 海の言葉㉙
【Ernst Haeckel】通信No.34で、ヘッケルとヘンゼンが対照的なライバル同士だったと書いた。私はプランクトン学徒として、プランクトン学の始祖であるヘンゼンに親しみを感ずるが、ヘッケルにも強く惹かれる。...
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通信No.34 海の言葉㉘
【NektonとBenthos‐通信No.4増補】海中では、あらゆるところに生物が生息している。無酸素になって「死の海」といわれるようなところにも嫌気的な生物がおり...