生物生態研究所通信
友達と話をしていて、思わず「それに関してはね、こんなことがあるんだ」と言いたくなったことはありませんか。この生物生態研究所通信では、海の環境と生物に関わる「こんなこと」を紹介します。以前「海洋と生物」誌にプランクトンに関する専門的な総説を連載したとき、科学からの息抜きのために「海のことば」と題した雑学コラムを設けました。その趣旨を引き継ぐものです。
私が学生のころ、国内では「日本人の教養は大学受験時が最高、入学後は衰える一方」といわれ、米国からは「日本の初等中等教育は機能しているが、大学教育には学ぶべきことは何もない」といわれていました。社会人である私たちは、お互いに「こんなこと」を分け与えながら教養を高めたいものです。この通信がそれに役立つならば幸いです。
谷口 旭
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通信No.9 報文紹介①
【生態系と北方民族文化に対する温暖化の影響】 北海道網走市にある北海道立北方民族博物館は1991年2月に開館したが...
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通信No.8 海の言葉⑧
【塩という漢字】「塩分salinity」の語源が「塩」および"salt"であることは前回述べた。では、塩とsaltという言葉の語源は何だったのかを調べてみよう。...
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通信No.7 海の言葉⑦
【Salinity】 20世紀初頭から伝統的に使われてきた海水の「塩分salinity」の定義は、1980年代に...
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通信No.6 海の言葉⑥
【Abyssos】 前号に記したように、水深3,000-6,000 mを深層(abyssopelagic zone)とよぶ。海洋学で...
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通信No.5 海の言葉⑤
【海の深度区分】光合成植物を基礎生産者とし、それを動物が食べ、それらの排出物や遺骸を菌類が分解する物質循環系は生態系の骨格...
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通信No.4 海の言葉④
【NektonとBenthos】水圏生物は、Plankton(浮遊生物)、Nekton(遊泳動物)、Benthos(底棲生物)という三つの生態群に分けられる。...
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通信No.3 海の言葉③
【Plankton】“Plankton”(プランクトン:浮遊生物)という語はドイツのV. ヘンゼンが提唱した。
語源のギリシア語“πλανκτος”の意味は“放浪者”とか“さまよい歩くこと”で、“惑星 planet”も同源だといわれる...
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通信No.2 海の言葉②
【厄水(やくみず)】 特に親潮域で初夏に発生する珪藻類の濃密群集は、色は茶褐色だが、赤潮の一種である。漁具類にべったりぬるぬるとくっつくし、悪臭も放つので、漁業者から厄介がられてきた。しかし...