生物生態研究所通信
友達と話をしていて、思わず「それに関してはね、こんなことがあるんだ」と言いたくなったことはありませんか。この生物生態研究所通信では、海の環境と生物に関わる「こんなこと」を紹介します。以前「海洋と生物」誌にプランクトンに関する専門的な総説を連載したとき、科学からの息抜きのために「海のことば」と題した雑学コラムを設けました。その趣旨を引き継ぐものです。
私が学生のころ、国内では「日本人の教養は大学受験時が最高、入学後は衰える一方」といわれ、米国からは「日本の初等中等教育は機能しているが、大学教育には学ぶべきことは何もない」といわれていました。社会人である私たちは、お互いに「こんなこと」を分け与えながら教養を高めたいものです。この通信がそれに役立つならば幸いです。
谷口 旭
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通信No.33 海の言葉㉗
【Planktonと古典ギリシアの宗教観】前号に、ギリシア語πλανκτοςは、神から放浪生活を運命づけられた者という意味の語であり、人間に限らず馬や岩山にも使われた語であったと書いた。...
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通信No.32 海の言葉㉖
【Planktonの語源‐通信No.3増補】 “Plankton”という語は、1887年ドイツのV.ヘンゼンが、遊泳力がないか、あっても大変弱いために、水のまにまに漂っている生物群の総称として提唱した用語である。...
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通信No.31 海の言葉㉕
【厄水(やくみず)‐通信No.2増補】親潮などの寒流域で初夏に発生する珪藻類の濃密群集は、色は緑褐色だが、赤潮の一種である。...
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通信No.30 海の言葉㉔
【Krill‐通信No.1増補】大型の動物プランクトンであるオキアミ類をわが国でもクリルというようになったのは、ナンキョクオキアミの資源研究が世界的規模で行われた1980年代以降である。...
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通信No.29 海の言葉㉓
【カキ、シェイクスピア、交通ICカード】カキにまつわる第4話は、国民の多くがカキは嫌いだという英国での話。やや大きな英語辞書でOysterを引くと...
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通信No.28 海の言葉㉒
【悲劇の女性哲学者】カキのハーフシェルは、平らな右殻を外して丸みのある左殻に身を残す。これを素手ですると、手に傷がつくほどカキの殻は鋭い。...
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通信No.27 海の言葉㉑
【Ostrakon陶片追放】カキは古典ギリシア時代ostreonといわれ、今日のイタボガキ類の属名(Ostrea, Crassostrea) などに継承されている。...
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通信No.26 海の言葉⑳
【一粒カキ】カキ養殖の歴史は古い。世界的にはローマ帝国時代から、日本では16世紀に広島、17世紀に松島で、との記録がある。...